六気は経絡位相に書き込まれているのか――風・寒・湿・火の窓と意外な穴
十二経を同一位相座標へ置けるなら、次の問いは自然に出る。古人の風・寒・湿・燥・火などの気化特性も、ランダムに散るのではないのか。つまり、特定の位相帯が特定の気化性格を示しやすいかである。
十二正経を井穴でゼロ化すると、現在の資料には目立つ窓が現れる。
繰り返し現れる位相帯
Section titled “繰り返し現れる位相帯”0°〜360°を30°ごとに区切ると、比較的集中する帯は、
- 90°–120°:寒 約76%
- 180°–210°:風 約77%
- 270°–300°:湿 約91%
- 300°–330°:風 約85%
- 330°–360°:火 約64%
である。六気スコアは経全体へ均等に散らず、とくに270°–300°の湿、300°–330°の風は複数経で強く集中する。
このため六気を経名・病名に付随するラベルだけでなく、位相窓と関連する性質として検討する価値が出る。しかし本当に重要なのは次の問題である。
風寒湿火は見えるのに、なぜ燥と暑がほぼ見えないのか
Section titled “風寒湿火は見えるのに、なぜ燥と暑がほぼ見えないのか”もし本当に「六気」なら六類あるはずである。ところが現在の十二正経で主六気はおよそ、
- 風:98穴
- 火:89穴
- 湿:58穴
- 寒:55穴
- 暑:9穴
- 燥:0穴
である。「燥」は図に描き忘れたのではなく、現モデルでは燥を第一主標とする穴が一つもない。暑も非常に少ない。これは隠してはいけない穴である。
問題は経絡ではなく分類かもしれない
Section titled “問題は経絡ではなく分類かもしれない”再点検すると、現 Master Data は
風、寒、湿、燥、火、暑
を使っており、「六淫」式語彙に近い。一方、五運六気の六気へ厳密に戻れば、
- 厥陰風木
- 少陰君火
- 太陰湿土
- 少陽相火
- 陽明燥金
- 太陽寒水
であり、火が二つで、火+暑ではない。
したがって「なぜ経絡に暑がないか」ではなく、データ建模で近いが異なる二つの古典分類を混ぜた可能性がある。表に六欄あるだけで古典六気と同じとは限らない。
現在の六気スコアはどう作られたか
Section titled “現在の六気スコアはどう作られたか”これは古典から一つのラベルを直接写したものでもない。前段階研究で、
- 位相帯;
- 最適調和波 n;
- 幾何役割;
- 穴名字根の手がかり;
- 既存の症状/六気標定
など複数信号を重ねたモデル派生量であり、最高・次高を主六気・次六気としている。
探索には適するが、独立した真値と誤認してはいけない。「風」字穴がほぼ風を含むという美しい内部整合も、穴名字根がスコア生成に参加している以上、完全な盲検証にはならない。
次に行うべき美しい実験
Section titled “次に行うべき美しい実験”最も価値のある次実験は、各穴のスコアを微調整し続けることではなく、名称を除いた盲検証である。
第一に穴名由来の六気信号を完全に外す。第二に位相・調和波・幾何役割・独立症状資料だけで六気ベクトルを再計算する。第三に結果を凍結した後で穴名を開示する。
その時なお「風池」「風府」「風門」「風市」「秉風」「翳風」が風へ集中すれば、命名仮説に強い証拠となる。同時に、研究対象を六淫にするのか、厥陰・少陰・太陰・少陽・陽明・太陽の六気にするのかも再定義すべきである。
したがって本篇の要点は「六気が位相で証明された」ことではない。位相帯には気化集積が見える一方、現在の六気ラベル自体はまだ十分に清浄ではない。
良いモデルは穴を隠さず、穴から次の正確な実験を設計する。
次篇では盲検に適した入口、穴名へ進み、「風池」という名が地形・流勢・気化・制御役割のどれを圧縮しているのかを考える。