正しい暦と時間目盛りの規律
六経病の解けやすい時間帯や五運六気など、中国医学の時間モデルを臨床診断や処方に使うとき、モデルが機能しないと感じることがある。本稿では、その原因がモデルそのものではなく、「正しい暦と時間目盛り」の境界条件を無視したことにある場合を考える。時間モデルでは、起点(Origin Point)の整合と時間帯境界の定義が決定的に重要であり、ずれれば小さな誤差が大きな差へ拡大する。基礎物理の言葉でいえば、エネルギー変動の位相差を正確に捉えていない状態に相当する。
核心は「座標系の整合と境界効果(Coordinate Alignment)」である。時間そのものは連続しているが、人間は規律を扱うために節気や時辰などの目盛りを設ける。異なるモデルが対応する物理的背景が異なれば、時間起点も同じとは限らない。座標系を無造作に混用し、たとえば天文学上の冬至点と気象上の大寒の区切りを同一視すれば、モデルへの代入は崩れる。 一年の最高気温・最低気温が夏至・冬至そのものには一致しないのも一例である。地球は熱容量を持つため、放射強度と気温という二つの物理量の間には自然な位相差が生じる。