五行相互包含モデル(体質と薬精の細分化)
臨床で扱う疾病や病機が極めて複雑になると、五行を五択だけで粗く分類する方法では十分でないことがある。そこで本稿では、診療精度をさらに高めるための「五行相互包含モデル」を取り上げる。五行相互包含の本質は、五行システムをもう一度それ自身と組み合わせる「行列的な乗算(Matrix Multiplication)」として捉え、5 × 5 = 25 種類のより微細な属性へ展開することである。 「木中の木」「木中の火」「土中の金」といった細かな特徴が得られる。機械学習で特徴量の解像度を上げることに似ており、診断は5択から25択へ複雑になる一方、より精密な区別が可能になるという考え方である。
古典文献と講義例を対照すると、本稿では二つの代表例を挙げる。第一は『霊枢・陰陽二十五人篇』で、人の体質を五行相互包含による25類型へ細分し、それぞれに標準的な五音と派生音を対応させる。第二は『輔行訣』に記された「二十五薬精図」である。