『神農本草経』を読み解く総綱
第三部では『神農本草経』へ戻る。根本へ帰るには、神農本草三百六十味と後世の巨大な本草体系を統べる総綱が必要である。総綱がなければ、一味につき二十数字ほどの短い記述を前に、ただ暗記するしかなくなる。
総綱の核心は、薬物を複数の稟賦を持つ選手として見ることにある。性、味、形、体、色、昇降浮沈、清濁、採収時節、機能命名、天地から受けた気などが、効能を推理する重要な次元となる。性味は最も目立つ入口だが、唯一の答えではない。
神農がこれらの薬を選んだ要点は、一般的な生化学成分というより、三陰三陽、五臓六腑、人体気化をどう調整するかにあったと本篇では考える。一般の人は経絡に敏感な人のように薬の走向を直接感じにくいため、古典に残る命名、性味、形象を手がかりに推導する必要がある。