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十音から二千百音へ――なぜこれほど大きな状態空間が必要なのか

気化十音の後、『扁鵲鏡経』は驚くほど大きな数を示す。

宮商角徴羽は、いずれも十気で並び、二音二十気が二百十音を化し、五音二百気が二千百音を化す。

将来、組み合わせ数の厳密算法をどう校勘するにせよ、作者が五音・六経・五臓程度の粗い分類では満足せず、大きな状態空間を作ろうとしていることは明らかである。

宮商角徴羽だけで人体を記述すると、多くの個体差・状態差が同じ箱に押し込まれる。

実際の気化状態には、

  • 同一音内の高下
  • 二音間の合度
  • 左右位置
  • 十二律
  • 舍位・候位
  • 時間に伴う差移

がある。

これらを記録するには、分類数が急増するのは自然である。

大量組み合わせそのものが目的ではない

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古書の長大な列挙は圧倒的に見えるが、二千百音を「二千百個の病名」として暗記する必要はない。

モデルとして見るなら、目的は似ているが異なる生理状態を同じ一格へ潰さないことである。

「寒い/暑い」だけの二分類と、18℃・20℃・22℃を区別する温度計では解像度が違う。『鏡経』は連続数値ではなく離散符号を多数組み合わせるが、識別力を上げる方向は似ている。

後文は「諸音合度、皆五十五化為法」とし、同一音内の異なる分度同士の合度も挙げる。

つまり合度は異五音間だけでなく、同音内部の分度間にも成立する。

気化十音は単純な対照表ではなく、高次元状態空間を圧縮するラベル群なのである。

第二輯はここで「音」の建模を完成する。

稟音 → 基本音 → 十分度 → 二音合度 → 左右位置 → 大量組み合わせ。

しかし、これらは主に「気がどんな状態か」を答える。まだ「その状態が経脈をどう進むか」は十分でない。

次に十二律が長短・節度・六経を加え、十音と十二律が六十首へ組み合わされる。

第三輯の核心は音楽ではなく、「状態」と「運行尺度」を一つの座標へ合成することである。