溪・谷・節・舍――気はどこで交換されるのか
八舍を理解するには、「経絡=十二本の線」という図をいったん外す必要がある。
『扁鵲鏡経』はいう。
十二経脈はいずれも三百六十五節を絡う。左右の気、上下の位、気交の中は、すべて営衛・溪谷大会の舍である。
さらに、
溪谷とは腠理の分、真気の起こるところである。小会を溪とし、大会を谷とする。
と定義する。
「三百五十四小溪、十二大谷」など具体数の校勘は今後の課題だが、構造は明確である。経絡には異なる階層の交会節点がある。
経脈は道、溪谷は交会点
Section titled “経脈は道、溪谷は交会点”交通網の比喩を使えば、
- 経脈:主要経路。
- 溪:小さな交会。
- 谷:大きな交会。
- 節:気交が起こる境界。
- 舍:交会点に形成される気の状態位置。
となる。
これは理解補助の比喩であり、古人が道路として捉えていたという意味ではない。〈八舍〉の中心が線ではなくネットワーク節点であることを示しやすい。
なぜ舍は「大気」と関わるのか
Section titled “なぜ舍は「大気」と関わるのか”本文はいう。
溪谷の間を営衛が行き、大気と会するものは、節の交、舍の度である。
営衛は人体内を巡り、大気は呼吸などを通じて人体へ接続する。舍がその交会文脈に置かれるため、純局所構造ではなく内外交換の節点尺度になる。
これは前の「肺司呼吸」「気は太陰から行く」とも呼応する。
なぜ病もここに「舍」するのか
Section titled “なぜ病もここに「舍」するのか”後文は直接、
舍とは正邪共会の所である。
とする。
病は抽象ラベルとして漂うのではなく、正気と邪気、あるいは異なる経気がある節会で関係を作る結果として記述される。
病処を知るには邪気の性質だけでなく、どの気交位置でどんな関係が生まれたかを見る必要がある。
位置から状態へ
Section titled “位置から状態へ”次に「謙・帰・蔵・生・動・長・育・止・壴」という九つの気化名が現れる。
ここでは「どこか」ではなく「その舍で気がどの段階にあるか」を答える。
八舍の完全な記述には、
舍が位置を与え、九気が状態を与える。
次篇では九気を一つの生命気化循環として整理する。