一人に三層の音が同時にある――稟受・由行・差移
〈八舍(二)〉では「音」がさらに三層へ分けられる。
個体差と時間変化を理解するうえで重要である。
本文はまず、
気には定舍があり、処によって名づけ、上下中外を三員に分ける。
と述べ、三種類の音を示す。
第一層:定舍稟気の音
Section titled “第一層:定舍稟気の音”角・徴・宮・商・羽・甬・穌は、定舍稟気の音であり、気化の機を行う。
より基礎的な稟受・音類に対応する。
「この人・この舍は根本的な気化分類で何音か」を答える層である。
第二層:定舍動気の音
Section titled “第二層:定舍動気の音”正・少・衆・開・判・質・虞・加・太・上。一音十気は定舍動気の音であり、営衛交会由行の始めを度る。
十分度で現在の運行を記述する。
同じ基本音の中で、気が今どの高下分度にあるかを表す。
第三層:当位差移の音
Section titled “第三層:当位差移の音”時によって異なり、時と相召するものは当位差移の音であり、経絡流注の多少を知る。
ここで時間が入る。
同一人、同一基礎稟音でも、時相により差移が起きる。差移は先天稟受を丸ごと変えるのではなく、現在運行に生じる偏りである。
本文はまとめる。
稟受の気は化の始め、由行の気は動の所、差移の気は行の度である。
三層を混ぜない
Section titled “三層を混ぜない”差移を稟受と見れば一時的偏差を体質と誤り、稟受だけ見れば現在病理を見落とす。
整理すると、
- 稟受:比較的安定した初期背景。
- 由行:現在の実際運行。
- 差移:時間・位置に対する偏移。
非常に明確な分層である。
「三音化律」で初めて気舍になる
Section titled “「三音化律」で初めて気舍になる”本文は、
三音化律し、参差迭移・変化倚伏・糾纏往復して相司するものを気舍という。
とする。
舍は静的な穴名ではなく、三層の気化が節会で共同形成する動的状態である。
稟賦、現況、時間偏移、位置を同時に保存するには、「虚」「実」の一語では解像度が足りない。
次篇では密集した八舍表へ入り、手足十二経、左右位置、九気、十音、十二律、専勝兼並和がどう重なるかを見る。