専・勝・兼・並・通・和――自然と人体をまたぐ六態モデル
第四輯の八舍ですでに「専・勝・兼・並・和」を見た。
〈通天〉では、それらは経脈配対の記号だけでなく、より普遍的な気化関係として扱われる。
本文はいう。
気の五化は、専・勝・兼・並・通・和であり、気化の度である。
ここでも本文は「五化」と言いながら六項を列挙する。この不整合自体を原文現象として保つべきで、整えるために改変してはならない。
六字は六種類の物質ではない
Section titled “六字は六種類の物質ではない”これらは二つ以上の気化状態が出会った後の関係を記述する。
前文は、
太過なら気専、有余なら気勝、不足なら気兼、不及なら気並、相通なら気会、気和なら令和。
と説明する。
概略すると、
- 専:一つの気が高度に集中し主導する。
- 勝:一つの気が相対的に優勢。
- 兼:本気が不足し他気を兼ね受ける。
- 並:不及の際に他気と並行する。
- 通:異系統間に交通可能な会ができる。
- 和:関係が協調状態に達する。
現代物理学の正式概念ではなく、『鏡経』固有の関係文法である。
なぜ一つの文法が天地人を横断するのか
Section titled “なぜ一つの文法が天地人を横断するのか”〈通天〉は天気・地味・人志を列べた直後に専勝兼並通和を出す。
不同来源の入力でも人体に入った後、同じ関係語で結果を記述できることを示唆する。
同じ味でも、違う人、時刻、既存状態へ入れば、助長、圧勝、兼入、並存、交通回復など結果が変わりうる。
つまり発想は「A は永遠に B」ではなく、A がある状態場へ入ったとき、既存状態とどんな関係を形成するかである。
六十首・八舍・通天がつながる理由
Section titled “六十首・八舍・通天がつながる理由”六十首は状態起点と変化を記録し、八舍は経脈間の気交を記録し、通天は外部入力を加える。
共通しているのは名詞ではなく「状態がどう相互作用するか」という文法である。
この層を理解すれば、次の十五味化や十五種五志之化は暗記表ではなく、二つの入力が出会った後に新しい関係状態を作る例として読める。
次篇では地の味の二項組み合わせを見る。