天符・歳会・太乙天符と運気の重ね合わせ
天符・歳会・太乙天符という三つの状況は、簡単にいえば、五運/六気 × 年尺度の重ね合わせとして理解できる。
このような重ね合わせの規則は『内経』の各所に見られ、本研究では、複数条件が一致すると異常な反応が起こる確率が高まる可能性を考える。一般物理の比喩を借りれば、波の建設的干渉にたとえることができる。ただし、これはあくまで理解のための比喩であり、古典の気をそのまま現代物理量と同一視するものではない。古典モデルでは、異なる次元でも、その時点の符号属性が一致すれば重ね合わせが成立すると考える。
たとえば、特殊部隊の友人が 冬 + 真夜中 + 冷水浸漬 という耐久訓練を受けた後、糸球体出血を起こして病院へ運ばれた例があった。全員が同じ結果になったわけではないため、その人自身の体質も重なっていた可能性がある。この例は、複数条件の同時作用という考え方を直感的に示す。
この篇で古人が示すのは 五運/六気 × 年尺度 の重ね合わせである。これに対し、近代の劉玉山医師『日干支断病』は、五運/六気 × 日尺度 の重ね合わせを扱う。
経には次のようにいう。
気輪が歳会に遇い、運が天符に値する。天符は執法、歳会は行令、太乙天符は貴人である。執法に中る病は速く危うく、行令に中る病は徐で持続し、貴人に中る病は暴急で死に至ることがある。
五運の気と司天の気が一致するものを 天符 という。たとえば己丑・己未の年では、天干の己は甲己化土に属し、丑未は太陰湿土が司天するため、年運と司天の気が同じ土となる。伝統的には十二年が挙げられる:己丑、己未、戊寅、戊申、戊子、戊午、乙卯、乙酉、丁巳、丁亥、丙辰、丙戌。
天干の化運と、その年の地支が表す五行が一致するものを 歳会 という。たとえば丁卯年では、丁壬が木に化し、卯も木支であるため、年運と年支が一致する。伝統的には八年が挙げられる:丁卯、戊午、甲辰、甲戌、己丑、己未、乙丑、丙子。
天符と歳会が同時に成立するものを 太乙天符 という。戊午年を例にすると、戊癸は火運を統べ、子午年は少陰君火が司天するため、火運と司天が一致して天符となる。さらに午は火支であり、年運とも一致するため歳会でもある。つまり運気・天気・歳気の三者が一致する。伝統的には戊午、己丑、己未、乙酉の四年が挙げられる。