五気五味と性味の定位
五気五味は薬物学習で最も一般的な入口である。ただし重要ではあっても、それだけで全ての本草を解けるわけではない。五気は寒・涼・平・温・熱、五味は酸・苦・甘・辛・鹹であり、薬物を基本的な時空図譜に置く第一層の座標となる。
五気は温度と陰陽寒熱に近く、五味は五行、入臓、補瀉、時間モデルにおける一定の動詞と関わる。辛は散、酸は収、甘は緩、苦は堅または燥、鹹は軟に働く。これらを単なる味覚とみなせば、気化関数としての意味を失う。
菖蒲と黄連を例にすると、菖蒲の辛味から辛散・芳香・開竅の方向を推理でき、黄連の苦寒から燥湿・瀉火・清熱へ進める。ただし性味だけでは全ての主治を説明できず、形体、清濁、時令、『内経』規則と合わせて読む必要がある。