昇降浮沈と春夏秋冬
昇降浮沈は薬物の気の運動方向を表し、本草と時空モデルをつなぐ重要な橋である。本篇では簡略化して、昇を春、浮を夏、降を秋、沈を冬に対応させる。
昇降浮沈は抽象語ではなく、薬物が人体に入った後、気機の方向へどう介入するかを示す。昇は上行と生発、浮は外達と走表、降は収斂して下行、沈は深部へ入って内蔵する。性味だけ知って昇降を知らないのは、風向は知っていても風がどの層を吹くか知らないのと同じである。
芳香薬は比較的清で表へ向かい、速く作用しやすい。夏枯草は薬名と時令の連動を示し、「夏枯」は夏至後の陽極から陰へ転じ、秋収の気を帯びる意味をもつ。このため服薬時機も、一日の四象や一年の四象と呼応させて考えられる。