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甘草と五臓六腑、偏りの少ない性質

甘草は経方で頻繁に使われる。本篇では『神農本草経』の「長肌肉、堅筋骨、倍気力」といった記述を重視する。これらを一字ずつ解けば、甘草は単なる「諸薬を調和する薬」ではなく、複数の臓腑層へ接続しうる。

甘草と五臓六腑、偏りの少ない性質の図
甘草を五臓六腑の多層へつなぐ、比較的偏りの少ない調和・負帰還の力として読む。

肌肉は脾、筋は肝、骨は腎、気は肺と関連し、力は心が血脈を運行する力にもつなげられる。『本経』が甘草は五臓六腑の寒熱邪気を主ると述べるのは漠然とした表現ではなく、比較的偏りの少ない土性と甘味によって多層の失衡へ触れることを示唆する。

甘草が多くの方で使われるのは、比較的偏らず、多臓多層の間を調和させる性格と関係する。ただし偏陰の側面も認める。このため甘草は緩急・和中に働くとともに、方中の負帰還と協調の力にもなりうる。