医家の取捨と古典的自己整合性の基準
問答の最後は、同じ薬について医家の見解が異なるとき何を採るべきかという実際問題へ戻る。答えは名声の大きさではなく、思考が簡潔で自己整合的か、古典と臨床へ戻れるかで判断することである。
三つの基準を使える。第一、本質を少ない言葉で明瞭に言えるか。第二、著作全体で前後が自己整合しているか。第三、臨床推導に用いる規則が『内経』『傷寒雑病論』などの古典から来ているか、それとも任意の創作か。
五味の統計にも触れる。『神農本草経』で二味以上を同時にもつ薬は比率が低く、古人の選薬は一味ごとの守備範囲の相対的な直交性を重視した可能性がある。組方では各薬がXYZ軸のようにそれぞれの役割を担い、機能範囲の過度な重複を避けることが望ましいという仮説につながる。