在泉六気が内に淫するときの治法構造
『至真要大論』の「諸気在泉、六淫于内」を形式化すると、在泉の第一治味は司天より単純な五行克治モデルに近い。湿の一格だけ「苦燥」が一般規則を上書きする。
在泉では病機の重点が内部・下位・地気・臓腑深層へ寄る。そのため多くは当該気の五行を克す本味を第一治味に取る。風木太過は金味の辛、熱火・相火は水味の鹹、燥金は火味の苦、寒水は土味の甘。六格中、風・熱・火・燥・寒の五格がこの規則に一致する。
例外は「湿淫于内」である。五行だけなら木の酸で土を克すはずだが、原文は「治以苦熱」「以苦燥之」とする。ここでは抽象的な土太過より湿度そのものが主矛盾であり、苦の燥湿機能を直接使う。
第一治味を簡約すると、
風木 → 辛涼
熱火 → 鹹寒
湿土 → 苦熱
相火 → 鹹冷
燥金 → 苦温
寒水 → 甘熱
となる。司天火・司天寒では上位の散越・寒閉により酸収・辛散へ修正されるのに対し、在泉では内部五行制衡をより直接に保つ。
佐味は単一の第二味ではなく集合として扱う。風は苦、熱は甘苦、湿は酸淡、火・寒は苦辛、燥は甘辛など、主味が扱わない緩和・収束・散行・護津・燥湿・過矯正防止を補う。
末尾の「甘以緩之」「辛以散之」「酸以収之」「苦以発之」「苦以燥之」「淡以泄之」「苦以下之」「辛以潤之」「苦以堅之」などは、第三・第四の味というより味 × 機能の演算子である。したがって在泉治法は、五行克治を主軸に、湿へ苦燥の特則、佐味集合による多目標補正、最後に機能演算子で方向指定する文法として整理できる。