コンテンツにスキップ

六気の「勝」における治法構造

『至真要大論』の「六気之勝」は、ある気が太過して優勢となり、その所勝の側を圧したとき、第一味・佐味・後続瀉味をどう配置するかを扱う。形式化で重要なのは、本気之勝の第一治味は勝気そのものを直接瀉すのではなく、まず圧された所勝側へ定位することである。

六気の「勝」における治法構造の図
六気之勝では被勝側を先に定位し、後段の瀉泄演算子で勝気太過を処理する。

厥陰風木が勝てば木克土なので土の本味である甘、少陰熱火・少陽相火が勝てば火克金なので金の本味である辛、太陰湿土が勝てば土克水なので水の本味である鹹、陽明燥金が勝てば金克木なので木の本味である酸を第一味に取る。したがって「甘清、辛寒、鹹熱、辛寒、酸温」は、六気太過時にまず圧制された端へ治療焦点を置く構造と読める。

ただし、これを単純に「所勝を補う」と呼ぶのは正確でない。ここで使うのは蔵象本味であり、五行補瀉正味の補味とは異なる。たとえば金の蔵象本味は辛だが、補瀉正味表では辛は金の瀉味でもある。より正確には、第一味は受抑端を標定する。

唯一の特例は「太陽之勝、治以甘熱」。一般規則なら寒水が火を克すので火の本味苦が予想されるが、原文は甘熱を取る。本篇では、寒水そのものへの強い直接対治へ重点が移ったと読む。甘は土として水を制し、甘は寒凝拘急を緩め、熱性は寒へ反する。

したがって、

一般の六気之勝:勝気太過 → 第一治味はその所勝・受抑側の蔵象本味 → 後続の瀉味で勝気自身を処理。

太陽寒勝:寒水太過 → 甘熱 → 土で水を制し、甘で寒凝を緩め、熱で寒へ対抗。

後段の「酸写之、甘写之、苦写之、苦泄之、鹹写之」などが、勝気そのものの削減へより直接的に向く。第一味で圧迫された側を配置し、末尾の瀉・泄で勝気太過を削る二層構造である。

佐味「苦辛、苦鹹、辛甘、甘鹹、辛甘、辛酸」は固定の第二・第三味に分解せず、校正集合として扱う。泄降、散行、緩急、寒熱、燥湿、過矯正防止などを補う層であり、第一治味ほど単一式へは収束しない。

この治法の核心は暗記表ではなく、勝気太過時にはまず被勝側を顧み、その後に瀉泄演算子で勝気を処理する。太陽寒勝のみ寒凝閉束が強いため甘熱で直接制水・緩寒する、という文法にある。