六十首とは何か――六十曲の音楽ではない
「六十首」は名称のために誤解されやすい。
十二律や宮商角徴羽が出てくるので、六十の楽曲を思い浮かべやすいが、本文の定義は非常に直接的である。
六十首とは、病処の浅深を度るためのものである。
つまり、六十首は病処の浅深を測るシステムである。
なぜ先に十音を学ぶ必要があるのか
Section titled “なぜ先に十音を学ぶ必要があるのか”六十首は突然現れたわけではない。
〈十音〉で気化音を作り、〈脈息〉で一息・分度・脈律を作り、〈六十首〉で初めて両者を接続する。
本文はいう。
脈は気の象、音は気の機、息は気の動、声は気の持、律は気の行、化は気の枢である。
これは六十首の操作説明として読める。音は機、律は行、脈は象、息は動を担う。合成して初めて、一つの気化イベントについて「どの状態か」と「どの運行尺度か」を同時に記述できる。
「首」は歌ではなく起点
Section titled “「首」は歌ではなく起点”後文は明確に、
首はすべて音の始めであり、気の立つところである。気の機であり、声の章であり、律の調であり、脈の動でもある。
と述べる。
したがって「首」は一回の判読、あるいは気化系列の起始状態として理解するのがよい。
音と律の象気が合えば「首」を立て、その後に舍と気行を推せる。
六十首は「音 × 律」の組み合わせ表
Section titled “六十首は「音 × 律」の組み合わせ表”本文は「安黄鐘、孚大呂、躬太簇、彁夾鐘……」と列べる。
前半は気化十音、後半は十二律である。少なくとも二軸が交差している。
- 気化音:状態関係。
- 十二律:気行の節度。
同じ気化音でも違う律へ落ちれば、気行尺度や経脈位置の意味が変わりうる。だから「病処浅深」を度るのに使える。
六十の背後には順逆がある
Section titled “六十の背後には順逆がある”本文は「順逆六十首」と明記し、反対方向の二大系列を列べる。
六十首は静的な表ではなく方向を持つ。
次篇では、六十首のもう一つの軸である十二律が、六経とどう配対されるかを見る。