少陰の人――なぜ一息四動でも正常なのか
全書前半では「平人一息脈五動、気行六寸」を何度も確認した。
ところが最後の〈少陰之人〉は一見矛盾することを述べる。
再出一入、少陰の人、脈律は大呂・夷則。少陰の脈は動揺六分、呼吸長息で脈四動、気行六寸なら常である。
四動でも正常でありうる。
これにより「平人」を、全員が完全に同じでなければならない唯一テンプレートとして理解できないことが明らかになる。
少陰の人の基準は四項目
Section titled “少陰の人の基準は四項目”原文は同時に、
- 呼吸構造:再出一入
- 十二律:大呂・夷則
- 動揺幅:六分
- 一息脈動:四動、気行六寸
を与える。
少陰の人は単一の脈拍数だけで判断できない。
「長息」は病的な遅呼吸ではない
Section titled “「長息」は病的な遅呼吸ではない”原文は、
長息とは、息静かにして長く、徐にして和蔵し、真元谷気充つ。
と説明する。
ここでの「長」は単純な低頻度ではなく、徐・和・蔵を含む全体状態である。
手少陰と足少陰も分かれる
Section titled “手少陰と足少陰も分かれる”一呼に脈再動、一吸一動、定息四動で躍らなければ足少陰、搖して躍れば手少陰の息とされる。
同じ四動でも波形が違えば位置が異なる。
個体化は標準を捨てることではない
Section titled “個体化は標準を捨てることではない”この章の思想は「人は皆違うから測れない」ではない。
むしろ、
共通尺度を作った後に、個体類型ごとの正常範囲を校正する。
次篇では太陰の人を見る。同じ五動六寸でも、呼吸出入比と動揺幅はまったく異なる。