脾胃の中土と人体五行の生成
五行の空間モデルは『内経』の多くの篇に繰り返し現れ、その背景には河図があるとされる。たとえば『素問・刺禁論』『素問・蔵気法時論』『素問・金匱真言論』などであり、例は枚挙にいとまがない。
古人は世界を入れ子状、あるいはフラクタル的な構造として捉えていたため、次のような関係が許される。
- 五行の中に陰陽がある。
- 陰陽の中に五行がある。
- 五行の各要素の中にさらに五行がある。
- 陰の中に陰陽があり、陽の中にも陰陽がある。
河図の生成数を示す黒点・白点は、五行の中に陰陽が含まれることを示す一例として読める。ここでは暫定的に、これらの点を異なる場やモードの番号、すなわち異なる共振状態や周波数を区別する指標として扱う。
もう一つ注意すべきなのは、中医学の伝統的な方位では、正面を向くとは南を向くことだという点である。太陽の東昇西降を人体の左右へ置き換えると、陽気の昇降という表現になる。
したがって五臓の気が一つの円周運動を形成するとき、左右の回転は「肝は左から昇り、肺は右から降る」と表される。しかし中央土である脾胃の中軸へ入ると、左を脾、右を胃とし、薬物では白朮・茯苓などによって中軸を回復させるという発想になる。
土には固定した専位がなく、四季の末ごとに十八日ずつ寄って旺し、主令の時は夏暦六月ごろにある。土が四象と合わさって五行となり、人は天地と参ずる。陰陽が起こると祖気が生じる。祖気とは人体の太極であり、その中に陰陽を抱える。陰陽の間にあるものを中気といい、中とは土である。土は戊己に分かれる。中気が左旋すれば己土、右旋すれば戊土。戊土は胃、己土は脾である。己土が上行すると陰が昇って陽へ化し、左に昇れば肝、上に昇れば心となる。戊土が下行すると陽が降って陰へ化し、右に降れば肺、下に降れば腎となる。肝は木、心は火、肺は金、腎は水であり、これが人体の五行である。五行にはそれぞれ陰陽があり、陰は五臓を生じ、陽は六腑を生じる。腎は癸水、膀胱は壬水、心は丁火、小腸は丙火、肝は乙木、胆は甲木、肺は辛金、大腸は庚金である。五行は各一であるが、火は君火と相火に分かれる。臓では心が君火の陰を主り、腑では三焦が相火の陽を担う。人は天地に応じ、陰陽を受けて生まれるが、太過・不及によって病に至ることがある。これが気化の理であり、医学の源とされる。そこで経文の要義をまとめ、図として整理するのである。