腎・膀胱の水蔵、津液と気化出入
北方は寒を生み、寒は水を生み、水は鹹を生み、鹹は腎を生む。腎は「作強の官、伎巧これより出づ」とされる。すべての骨は腎に属し、腎は志を蔵する。卦では坎、体では骨、色は黒、声は呻、志は恐、変動は慄、竅は二陰、味は鹹。液は唾、臭は腐、栄は髪、数は六、穀は豆、畜は豕、虫は鱗、果は栗、菜は藿。腎は膀胱と合し、脾に制約される。腎は燥を悪み、湿地に長く座ることや過度の房事は腎を傷るとされる。腎病では腹部膨大、脛の腫れ、喘咳、身体の重さ、寝汗、悪風などがあり、虚すれば胸中痛、大小腹痛、冷えた厥、気分の沈みなどが現れる。
膀胱は「州都の官、津液ここに蔵され、気化すれば出ることができる」とされる。腎と合するため寒水の腑であり、気を化すことができるため伝化の腑でもある。
伝統的説明では、飲んだ水は膀胱へ集まる。膀胱は河川に洲渚があるように水を集めるため、「州都の官」と呼ばれる。一般には膀胱は尿を主ると理解されるが、この説ではさらに、水が膀胱で気化し、上行するものは津液となり、残余の質が下へ出て尿になるとする。したがって「気化すれば出づ」とは、単に尿を出すだけでなく、津液を全身へ出すことも意味すると解する。
火が水と交われば気へ化する。心は火を主り、吸入する天陽も火に属するとみなす。吸入された天陽が心火と合して胞中へ下り、膀胱の水を蒸して気へ化し、その気は膀胱を出て周囲の網へ入り、臍の両側の気街を上り、隔を越えて肺へ入り、再び口鼻へ出る。口舌や臓腑の中では津液となり、皮毛へ横に出て肌を温め潤せば汗となる。これが「気化して津液が出る」という説明である。
さらに吸呼と督・衝・任、水火交通を関連づける。火が水を蒸すに足りなければ津液は上昇せず、気化も行われない。このため仲景の五苓散に桂枝が用いられると説明する。水が火を済うに足りなければ津液が枯れ、小便が出にくくなる。このため猪苓湯に阿膠を用いるとする。
経には、膀胱病では小腹の一側が腫れて痛み、手で押すと尿意が起こるのに排尿できないことがあると記される。