九宮八風の空間・診法モデル
天人の学には、天時の変化を扱う運気学説のほかに、「地の空間規律」へ焦点を当てたモデルがある。本稿ではこれを「九宮八風の空間・診法モデル」と呼ぶ。整った3 × 3行列を使い、大地の幾何空間、気流方向、人体の九州九野の分布を抽象的に結びつける。
源流として洛書を置く。九宮格は、古人が二次元・三次元空間で位置を標定し、動的変化を推算するための簡潔な行列として理解できる。人体では上・中・下と天・地・人を縦横に組み合わせて九つのトポロジカル区画を作り、外部環境では八方向から来る「八風」に対応させる。地気の影響を空間的に捉える診法として位置づけられる。 古典では、このモデルが『黄帝内経・素問』の「三部九候診法」と関係し、頭・手・足をそれぞれ天地人へ分けて九つの観察区を形成する。本稿はさらに、董乾陽氏『九宮円運動』の議論を参照し、人体の解剖部位と中薬の「入薬部位」を九宮へ配置する考え方を紹介する。たとえば花類薬材を火・南方・九宮上方に置く理由を、夏に開花が起こりやすく、花が外向きに発散する性質を封入しているからだと説明する。