五味の「中土」空間モデルと五入の親和性
薬物・食材の五味を理解するには、二つの独立したモデルを分けなければならない。第一は「五味中土空間モデル」である。ここでは五行を空間幾何として配置し、土を中央の枢軸に置く。同時に、五味が人体に入った後の「五入親和性(Affinity)」、たとえば酸は肝、苦は心へ入りやすいという関係を定義する。
重要なのは、五入親和性は吸収・到達の通路傾向を示すのであって、五味が五臓を補うか瀉すかを直接意味しないことである。
空間モデルは本篇では「地気」と物質的空間構造に強く関わるものとして扱う。酸・苦・甘・辛・鹹を帯びた物質が人体へ入ると、五臓はそれぞれの空間的性質によって特定の味へ親和性を示す、という読み方である。
この空間五味モデルは『金匱真言論』『陰陽応象大論』『五臓生成論』の「東方生風……在音為角、在味為酸」のような整然とした五行段落に広く見られ、王冰の『玄珠密語』『元和紀用経』にも関連注解がある。