六気解と主令・化気・盛衰
六気は、六経へ風・熱・暑・湿・燥・寒という六つのラベルを固定的に貼るだけのものではない。陳鼎三のより重要な観察は、一つの六経には手足二本の経があり、その間に 主令 と 化気 の関係があること、そして病時にどちらの気化が表に出るかは、陰陽の盛衰と本気の虚実によって決まるという点である。
足少陰は本来水に属するが、陽が盛んなときは君火へ化し、陽が虚すると太陽の寒へ従う。足少陽は本来木に属するが、陽が盛んなときは相火へ化し、陽が虚すると厥陰の風へ従う。足陽明は本来土に属するが、燥と湿の間で化が変わりうる。
したがって六経は「一経=一気」で固定された体系ではなく、条件によって転換方向を変えられる動的システムである。
ここでいう主令と化気は、標・本・中気の関係の中で、水火、燥湿、風・相火という三本の軸における変化方向を表すものと本研究では理解する。
『医学探源』原文の現代語訳
Section titled “『医学探源』原文の現代語訳”「天の気化からいえば、厥陰・太陰・太陽では足経が主令し、手経が化気する。少陽・陽明・少陰では手経が主令し、足経が化気する。後天の人事からいえば、身体の陰陽盛衰を基準とする。天には六気があり、初之気は厥陰風木、二之気は少陰君火、三之気は少陽相火、四之気は太陰湿土、五之気は陽明燥金、六之気は太陽寒水である。……経は十二、六気がこれを統べる。……人の六気が病まなければ病象は現れない。一経の気が現れるとき、自ら令気を現す場合、本気を現す場合、主令側が従化の気を現す場合、従化側が主令の気を現す場合があり、いずれもその経気の盛衰を基準として判断する。」
「足少陰は水であり、水の気は寒である。少陰経の病で陽が盛んなら、足少陰は君火へ化気する。陽が虚すれば火化に従わず、太陽の寒化に従う。足少陽は木であり、木の気は風。少陽病で陽が盛んなら相火へ化し、陽が虚すれば火化に従わず厥陰風化に従う。足陽明は土であり、土の気は湿。陽明病で陽が盛んなら燥金へ化し、陽が虚すれば燥化に従わず太陰湿化に従う。主令が盛んなら化気がこれに従い、化気が盛んなら主令がこれに従う。すべて本気の虚実を離れない。」